
『ジュリア』(Julia)は1977年のアメリカ映画。アメリカの作家リリアン・ヘルマンの『Pentimento: A Book of Portraits』(1973年)を原作とする。リリアンとジュリアの友情、および作家のダシール・ハメットとの愛が描かれている。 第50回アカデミー賞では作品賞候補を含めて11のノミネーションを受け、3部門で受賞した。
『Pentimento: A Book of Portraits』(『ペンティメント』)は回顧録で、その中のジュリアという女性に関するエピソードに材を取ったこの映画の内容は、ほぼ実話であると考えてよいと思われる。
この映画について記述したブログを紹介。(サボッております;)
衛星映画評「ジュリア」――反戦の知性に裏打ちされた2人の女優の演技に魅せられる作品―― http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/2_e354.html
西澤 晋 の 映画日記 ジュリア(1977) http://ssm2438.exblog.jp/12674968/
Julia, 1977 - Trailer https://www.youtube.com/watch?v=U_u7Hvj14s0
裕福な家庭に育ち、美しく聡明で正義感の強いジュリアは、リリアンにとって大切な友人であり、羨望の的でもあった。ジュリアはオックスフォード大学で学び、フロイトに師事し、反ナチ運動に身を投じる。劇作家として成功したリリアンはモスクワ演劇祭に招かれ、パリからモスクワへ向かう途中、ジュリアの同志の依頼で彼女に資金を運ぶためにベルリンに立ち寄る。危険な行動であり、決心するまでのリリアンの胸中、列車内での様子、検問の通過あたりの描写は強い緊迫感を漂わせる。再会したジュリアは片脚を失い、義足をつけていた。ジュリアは同志のある男性との間に生まれた女の子に”リリー”と名付け、今はアルザス地方のパン屋に預けていると言う。友情を確かめ合った束の間の再会のあと、まもなくリリアンにジュリアが殺害されたという知らせが届く。ジュリアの身内は冷淡で、リリアンがジュリアの遺体を引き取りに行く。そしてアルザス地方を足を棒にして彼女の遺児を探し回るが、見つけることはできない。
この映画の場合は反ナチズムが描かれているが、そのような政治的イデオロギーに限らず、大きな理不尽さに立ち向かう人々の共感、命をかけた勇気ある行動の重みが、二人の女性の友情と信頼を通して静かに伝わってくる秀作であると思う。
追記: 脚本は以前に紹介した『普通の人々』と同じくアルヴィン・サージェントによるもので、この作品でもアカデミー脚色賞を受賞している。
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