
最初から『ブリキの太鼓』は凡人があれこれ言えるようなものではない、批評などもってのほか、とんでもない代物だと感じていた。 なので、映画に関しては、どんな作品でも確かな目で鑑賞して、適切な言葉で語ってくれるだろうと思える映画評論家、荻昌弘(おぎ まさひろ)先生の批評を探してきた。 拝読して、ますます凡人は口を噤んでいるべきであるという思いを強くしたため、作品中にある”ナチのパレードのマーチがオスカルの誘導で「青きドナウ」に転生してしまう爆笑シーン”の動画を紹介するだけにしておく。
Great movie scenes 88 https://www.youtube.com/watch?v=TW9JVVdo9h0
ところで、小説『ブリキの太鼓』は三部構成になっていて、映画は第二部までをまとめて独自の作品に仕上げていると書いた。 映画のほうは、第二次大戦の終結後、再び成長する決心をしたオスカルが、自分の言葉や意志や感情を表現する道具であったブリキの太鼓を捨て、ダンツィヒに残る祖母に見送られながら、マリアらと難民列車に乗って西へ向かうところで終わっている。 小説の第三部では、このあと、西ドイツに移住してからのオスカルの物語が書かれている。(続く)
(荻 昌弘先生は故人で、批評文の引用は現在の著作権の所有者の許可を得ています) |
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