奈良の鹿愛護会の事務局所属のY獣医師と電話で話すことができた。 「主に奈良公園の鹿を対象に保護・育成を行なっていると聞きますが、頭数はどのくらいですか?」 「大体1100〜1200頭です」 「奈良公園以外に周辺の山林にも鹿が棲息していると存じますが、鹿は公園と野山を行き来しているのですか?」 「それは殆どなく、公園は公園で、山林は山林でほぼ定着して棲息しているようです」 「奈良の鹿は充分な食べ物があるにもかかわらず、ゴミを食べると聞いていますが、どのような理由からでしょうか?」 「鹿は草食動物で、ミネラルの中では塩分(ナトリウム)が不足しがちなので、人間の食べ物や臭いの付いたゴミから塩分を摂取しようとしていると考えます」 「宮島の鹿は海岸で海草を食べていますが、同じ理由からでしょうか」 「海草は鹿の本来の食べ物ではありませんが、付着した海水から塩分を摂取していると思われます」 (調べてみると、野生の鹿は棲息地によって様々なものから塩分を摂っている) 「野菜は硝酸塩を含むので、鹿に与えるのはよくないと聞いていますが」 「確かにそうですが、毎日かなりの量を食べないかぎり中毒死するようなことはありません」 (地元の動物園でも鹿に野菜を与えているが、主に硝酸塩の含有量が少ない根菜類である) 「宮島の鹿に給餌をされている方がおられて、この方は奈良の鹿愛護会の会員なのですが、手伝いのボランティアもいらして、週一回、牧草を主体に150kgほどで・・・鹿は市街地に200〜300頭とか500頭とか諸説があって」 (Y獣医師は宮島の鹿への餌やり禁止が条令でないことを知らなかった) 「それだけの量ではどうも・・・充分ではないと思います」 「山の中の状況はどうなっているのか、鹿の分布や植物相などについては調査されておりません」 「山に充分な食べ物があれば差し支えないでしょうが・・・ご質問があればいつでも尋ねてください」
考察: 上記の通り、山林は調査が行われていない。しかし廿日市市が調査した地域や弥山の付近で植生被害が起こっていたという報告はある。山林には飢えた鹿の死体がたくさんあるかもしれない。鹿が餓死した例はないと言われているが、どれくらい検視が行われているか明らかでない。そもそも何を持って”餓死”と呼んでいるのか。(「餓死した鹿はいない」という前に、”餓死”の定義を明らかにしてもらいたい。)市街地の鹿の頭数は減少しているようである。海を泳いで本土へ渡ろうとして、途中で力尽き溺死する鹿がいないと言い切れるだろうか。市があえて調査しない、あるいは公にしていないことは多いと思われる。
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