宮島の鹿は、特殊な存在だと思う。 いわゆる野生動物であるかというと、「そうではない」という意見がある。 人が観光客を呼ぶために鹿を餌付けし、鹿にとっては人から餌をもらうことが当たり前になり、そのような状況で繁殖してきたという経緯があるから、野生というよりはむしろ野良である、という考えである。
廿日市市は餌やりを禁止すれば鹿は山へ帰っていくと言っているが、前述のように鹿の食用となる植物が不足しているとすれば、食べ物のない鹿は当然飢えることになる。そして消化できない紙やビニールなどのゴミまで口にするようになる。これは実際、島を訪れる人たちが見ているし、その様子がTVで報道されたこともある。
「鹿が餓死している」「ゴミを食べたために腸閉塞を起こして死んでいる」といった話を聞くが、これを裏付けるような事例は見つからなかった。ただ、ある方のブログに書かれた事実として、”2010年、廿日市市が死んだ鹿4体の解剖を行ったところ、すべてで胃に大量の異物が蓄積されており、うち2体では異物が3kgを超えていた”、”2015年6月4日〜6月22日の間に21頭が死亡。廿日市市農林水産課に問い合わせたところ、解剖所見可能な2体のみ解剖。(半日以上たつと、中毒症状など所見できない。)県から3名派遣されて剖検したが、病変や中毒症状がなかった。胃の中にはゴミが詰まっていた(市街地の鹿ではそれが普通)”といったことがある。
これらの鹿の死因がゴミを食べたことによる胃腸障害か、栄養失調や餓死か、あるいは別の原因であるのか、特定することはできないが、鹿が飢えて苦しんでいることは確かである。 ただ餌やりを禁止するだけでは(続く)
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