初花月に

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...... 2016年11月25日 の日記 ......
■ ブリキの太鼓   [ NO. 2016112501-1 ]


『ブリキの太鼓』(ブリキのたいこ、Die Blechtrommel)は、ドイツの作家ギュンター・グラスが1959年に発表した処女作であり長篇小説である。『猫と鼠』(1961年)、『犬の年』(1963年)と続く、いわゆる「ダンツィヒ三部作」の最初を飾る作品であり、第二次世界大戦後のドイツ文学における最も重要な作品の一つに数えられる。1979年にフォルカー・シュレンドルフによって映画化された。

小説のストーリー:
 1954年、精神病院の住人である30歳のオスカル・マツェラートが看護人相手に自らの半生を語るという形で物語は進行していく。体は幼児で、精神年齢は成人のオスカルは、冷めた視点で世の中を見つめ、その悪魔的所業で、自分を愛してくれている周囲の人間を次々に死に追いやる良心を持たない人間として描写されているが、最終的に自分を保護してくれる人間がいなくなったことに気が付き愕然とすることになる。
 オスカルは誕生時に既に知能は成人並みに発達をとげ、かつ自分の成長を自身の意思でコントロールする能力を備えていた。物語は1899年のジャガイモ畑における祖母の妊娠に始まり、1924年の誕生に至る。オスカルは自分が成長することを恐れていたが、父親が彼が3歳になった時、ブリキの太鼓を買い与えるとの言葉を聞き、3歳までは成長することにした。3歳の時、父親が地下室に降りる床の扉を閉め忘れたことを勿怪の幸いに、故意に地下に転落し、大人たちにそれが原因で成長が止まったと信じ込ませることにした。アグネスは何かというとこのことでアルフレートの不注意を責め、それにより夫婦間に亀裂が生じるようになる。
オスカルは声帯から発する超音波でガラスを破壊する能力を身につけ、様々な問題を起こしていく。息子の奇行に悩み、その将来を慮ったアグネスは、精神を病み過食症となり、自ら命を絶つ。
 局外者であるオスカルの眼を通し、ナチ党政権前後におけるダンツィヒ自由市の小市民的心性、戦前・戦中・戦後の遍歴などを描く。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%AD%E3%81%AE%E5%A4%AA%E9%BC%93
より

映画:
 1979年に公開。西ドイツとフランスの合作。三部からなる小説の第二部までを上手くまとめて、映画独自の作品に仕上げられている。1899年(第一次大戦の前)から第二次大戦の終結までのダンツィヒを舞台に、3歳で自ら成長を止めた主人公オスカル少年の目を通した世界が描かれる。

 こちらのサイトでストーリーが分かりやすく解説されている↓
映画「ブリキの太鼓」のネタバレあらすじ結末
http://hm-hm.net/fantasy/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%AD%E3%81%AE%E5%A4%AA%E9%BC%93

関連動画をいくつか紹介

The Tin Drum (1979) - Trailer [English Version]
https://www.youtube.com/watch?v=2ewzWkFZOFk
(英語版の予告編。英語のナレーション、字幕付き)

Die Blechtrommel [The Tin Drum] (1979) Trailer - Volker Schlöndorff
https://www.youtube.com/watch?v=_x-dJaSS3Og
(シュレンドルフ監督の編集による予告編。英語字幕付き)

Die Blechtrommel 1979 El tambor de hojalata
https://www.youtube.com/watch?v=tqGOcH4S_Nc
(映画の映像に曲を合成、編集したAMV風の動画)

 言葉で説明するよりも、実際に読んで、観ていただくほうが早いけれど、これは好き嫌いがはっきり分れる作品だと思う。特に映画は人間の、大人の世界の美しさも醜悪さも、徹底してリアルな映像で描かれているため、醜くおぞましい場面に目をそむけたくなる人も多いと思われる。自分にしても、人に観るよう勧めることはややためらわれる。
 しかしこの作品は、好きか嫌いか、面白いかそうでないかといったことで語るレベルをはるかに超えたところにあると感じる。心のどこか深いところを強く捉えて離さない力を持つ作品なのである。この作品を評価した人々は、同じような感覚を経験したのではないか・・・その魔力とも言えそうな牽引力を。
 そしてその評価というと、小説は発表当時いろいろと物議をかもしながらもベストセラーとなり、作者はのちにノーベル文学賞を受賞、映画は第32回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞、第52回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞・・・(続く)
 

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