繰り返しになるが、廿日市市では前記のように宮島の市街地に来る鹿にマイクリチップを埋め込み、個体識別ができるようにしている。 また、ケガをしたり衰弱したりしている鹿を保護し、治療を行なっている(?)とのことである。 いずれもそうするための前段階として、”鹿の捕獲”ということが必要になる。
これはどのような手続きをふまえて行なっているかというと、廿日市市の宮島地域シカ対策協議会に関わる人の中に環境省に所属する人がいて、この人を通じて許可を得てやっているとのことである。(ちなみにイノシシの駆除については、イノシシはもともとは島にいなかった害獣なので、許可を得る必要はないそうである。)
「宮島地域シカ保護管理計画(第2期)概要版」によれば、”緊急的な固体の保護はできるだけ実施しない方針とする。”となっている。一般市民がケガや病気の鹿を見つけた場合、保護して獣医師に診てもらうとしても、捕獲するために許可が必要ということならば、市の協力が必要になる。しかしそれ以前に、ケガなどをした鹿を保護するということは、慣例的に町役場の仕事になっているとのことである。 (現在、宮島町は廿日市市と合併しているので、町役場は廿日市市宮島支所となっている。)
同じく「宮島地域シカ保護管理計画(第2期)概要版」には、”餌やりの禁止によって人馴れしたシカを市街地から分散させるとともに、緩やかな個体数の減少によって生息密度を低下させる。”とある。”緩やかな個体数の減少”とは、どう見ても飢えによって鹿を死に至らしめ、数を減らすという意味であると考えられないだろうか。廿日市市のシカ対策の担当者は、問い合わせをするたびに”餓死”という言葉を口にする。こちらはそんなことは一度も言っていないのに。
追記: 「餌やり禁止」がなぜ条例にならないのか、餌やりを行なっている方にやめてほしいというなら、条例になればできなくなる、なぜそのような運びにならないのかと思い切って訊いてみると、担当者は答えに窮した。 (選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例の制定又は改廃の直接請求をすることができる。また、この担当者が所属する部署の意見を取りまとめ、条例を制定する議会に働きかけることも可能である。) 「人が鹿に餌をやらなければ鹿は山へ帰っていく、そして飢えることもない、人と鹿の住み分けができる」と確信した上で餌やりを禁止し、そのことに正当性があると広島県や廿日市市が考えているなら、正式な条例になっても差し支えはないはずである。
|
|